賃貸物件を借りる場合、入居審査が行われます。これから物件を借りるにあたり、審査の流れや必要な書類について事前に知っておきたいですよね。
そこでこの記事では、賃貸借契約を結ぶ前に行われる「入居審査」について解説いたします。
記事の目次
賃貸物件は全ての人が借りられるわけではなく、入居審査に通った人だけが借りることができます。
入居審査では、「家賃の支払い能力はあるのか?」「常識のある人か?」「連帯保証人の保証意思はあるのか?」といったことをチェックしています。
部屋を貸している人(貸主)にとって、騒いだり設備を壊したりしそうな人に物件を貸すのは不安です。また、家賃を滞納しそうな人に貸すのも避けたいところです。
さらに、家賃滞納を払えなくなった場合に、保証してくれる人がいるのかも心配な点になります。
このような貸主にとっての心配や不安な部分を未然に防ぐために、入居審査は行われているのです。
なお、審査は貸主から物件の管理を委託された管理会社によって行われる場合もあります。
入居審査では、「入居申込書」の記載が求められます。入居申込書には、以下の内容の記載が必要です。
連帯保証人が必要な場合は下記書類も必要
場合によっては審査時に以下の書類の提出を求められることがあります。
ただし、以下の書類は契約時に求められることもあり、必ずしも入居審査時に必要なものとは限りません。
保証人が必要な場合は下記書類も必要
入居審査を簡素化している管理会社では、「入居申込書」だけで審査することも多いです。
なお、稀に貸主によっては、審査時に連帯保証人の収入証明書を求めるケースもあります。入居審査の必要書類は貸主のスタンスよって異なるということを知っておきましょう。
次に、入居審査のチェックポイントについて解説します。
物件を借りるときは一般的に、「個人の連帯保証人」または「保証機関(家賃保証会社のこと)」のいずれかの保証を付けます。
個人の連帯保証人の場合には、保証人の年齢や収入も考慮されます。例えば保証人が高齢で保証能力がない場合には、審査が通りにくくなります。
この際に、貸主が保証機関の保証も認めている場合は、保証期間の審査が通れば契約にすすめます。
入居審査では、家賃の支払い能力の有無についてのチェックを受けます。支払い能力に関しては、年収に比べて著しく高い家賃の物件を求めていないかを見られています。
ただし、支払能力は必ずしも年収だけで判断されるものではありません。家族構成、勤務先や勤続年数、年齢等のバランスを踏まえて判断されます。
「入居者の性格や属性」が、賃貸借契約における入居審査では大きなウェイトを占めます。
入居申込が入ると、貸主に対して不動産会社が作成した「入居資格に関する参考資料」が渡されるのが通常です。「入居資格に関する参考資料」の中には、必ず「人柄・応対態度」に関するコメント欄があり、不動産会社が貸主に対して入居希望者の人物像を報告することになっています。
不動産会社は最初の電話から、物件案内時の会話、申込書のやり取り等を通じて「常識的な人であるかどうか」の判断を行っています。「収入面」だけを見て審査しているわけではないということを理解しておきましょう。
入居審査に要する期間は3~5日程度です。
昨今の賃貸市場は借り手側が優位であるため、入居審査になるべく時間をかけない傾向にありますが、それでも時間がかかってしまうケースがあります。
また、以下のようなケースでは審査に時間がかかることがあります。スムーズな契約のためにも注意しましょう。
「入居申込書」の記載内容に不備がある、空欄が多いなどが、時間がかかるケースとして挙げられます。入居申込書の記載事項は、漏れなく記入するようにしてください。
なお、貸主が審査時に連帯保証人の収入証明等まで求める場合には、これらの書類が揃っていないと審査が長引くので気を付けましょう。
入居審査の中で、連帯保証人に対して保証人になることの意思確認を行います。その際、連帯保証人になかなか連絡が取れない場合、審査が長引くことになります。
また、連帯保証人に連絡が取れたものの快く同意してもらえなかったり、積極的に協力をしてもらえない場合も、審査が長引く原因となるので連帯保証人選びは慎重に行いましょう。
入居審査が通らない理由は、主に以下の3つが原因です。
部屋を借りている人(借主)の人柄・応対態度が悪いと審査に通りにくくなります。例えば、高圧的な態度や、暴力的または暴言を吐く等の非常識な人、清潔感がなくだらしない人は審査に落ちる確率が高まります。
そのような人を共同住宅に入居させてしまうと、他の部屋の入居者に迷惑をかけたり、建物を故意に破損させる可能性が高いというのが理由です。
家賃の支払い能力が低い場合も審査に通りにくくなります。無職の場合や不安定な職業の場合には、審査に通りにくくなる原因となります。
連帯保証人の協力が得られない場合も審査に通りません。入居審査では、連帯保証人に直接保証の意思確認を行いますが、その際に保証を断られてしまえば、当然審査には通らないことになります。
ここでは、入居審査に通るために知っておくべきことについて解説します。
物件を決める場合には、収入と家賃のバランスを考えましょう。自分が継続して家賃を払える額かどうかを判断する必要があります。
家賃に月収のどれぐらいを充てているかアンケートを取ったところ、全体の約3割の人が月収の20%程度と答え、続いて30%程度、25%程度と続いています。
夫婦または同居するパートナーで共働きの場合や職場の家賃補助がある場合には割合が低く、一人暮らしの場合には高くなる傾向がありますが、一般的には20%~30%の範囲で家賃を抑える方が多いようです。
連帯保証人が必要な場合は収入が安定した親類・身内に頼むのがベターです。
ただし、連帯保証人は定年退職前の人が適切。収入が安定していても年金生活をしている高齢者の場合、保証能力がないとみなされることがあります。
なお、連帯保証人になってくれる人には何の保証人になってもらうのか説明し、自分が家賃を支払えなくなった際に代わりに支払いが発生することなども含め、必ず確約を取っておくようにしてください。
入居審査では、最初の電話から入居申込までの一連の行動で人柄・応対態度が審査されています。そのため、不動産会社や管理会社、大家さんとの対面では良い印象を残すことが重要です。
もちろん無理に笑顔を作る必要まではありませんが、過度な要求や非常識な対応は行わないようにしましょう。
入居申込書に虚偽の報告をしてはいけません。
入居申込書には、「虚偽の記載をした場合には、賃貸借契約を解除されても異議を唱えない」といった主旨の文言が付されているのが通常です。
賃貸借契約の締結時には、収入証明書を要求されることもあり、虚偽の内容か否かを照合されることもあります。虚偽の内容と分かれば、賃貸借契約の締結はできません。
「無職」の場合は支払い能力を示せるものを準備します。
無職といっても、「これから働く場合」や「昨年まで働いていた場合」、「無職が続いている場合」があります。
必要な書類は以下の通りです。
これらの書類が揃っていたとしても、審査に通るとは限りません。あくまでも支払い能力を示す補助的な資料に過ぎないことを理解しておきましょう。
配偶者などの同居人の収入も併せて申告すると、自分の収入が少なくて審査に通らない場合でも通りやすくなります。
ただし、加味される同居人の収入は、一時的な収入ではなく、仕事継続の予定がある収入ということが原則。
また、連帯保証人が高齢で審査に通らない場合、適切な連帯保証人に変更することも必要です。適切な連帯保証人がいない場合には、保証機関を利用した方が審査を通しやすくなります。
もし審査に通らなかった場合は、気持ちを切り替えて次の物件を探すことも重要です。収入に問題があって審査に通らない場合は、現在の収入に合う物件を探した方が、長い目で見た際には自分のためにもなります。
入居の申し込みを行わない審査が通った後でも、賃貸借契約の締結前であればキャンセルは可能です。
あくまでも入居申込書の提出は、入居者の一方的な意思表示を示すものであり、契約が成立しているわけではありません。一方で、賃貸借契約締結後のキャンセルは、賃貸借契約の解除に該当します。この場合、契約締結時に支払った仲介手数料や礼金、支払い済みの家賃などは戻ってきません。ただし、敷金に関しては退去時の修繕費に充てられる費用なので戻ってくる可能性があります。
もしキャンセルしたい場合には、賃貸借契約の締結“前“に早めにキャンセルするようにしてください。
ここまで、賃貸契約の入居審査について解説してきました。
入居審査では、「家賃の支払い能力」、「借主の人柄・応対態度」、「連帯保証人の意思確認」の3点が重要なことがわかりました。それらをふまえしっかりと準備した上で、入居申込を行うようにしましょう。
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